行知学園 インターナショナルスクールが開校

日・中・英の3言語を育て、日本と中国の大学進学へ

日本語、中国語、そして英語。複数の言語と文化の中で育つ子どもたちに、その背景を生かした進学の選択肢を届ける学校が誕生しました。

2026年9月に行知学園 インターナショナルスクールが開校

2026年9月に創立した行知学園インターナショナルスクール(Coach Academy International School)は、主にG9〜G12、日本の中学3年生から高校3年生に相当する段階の生徒を対象に言語教育と教科学習、大学進学に向けた支援を提供します。

開校記念式典・交流会では、行知学園株式会社代表取締役で同校理事長の楊舸(よう・が)氏が登壇。

「教育で世界をつなぐ」という理念のもと、学校設立の背景と、日・中・英のトリリンガル人材を育成する構想を語りました。

留学生の進学支援から、学校づくりへ

行知学園は、2008年に3人の留学生が立ち上げた教育事業から始まりました。

日本の大学・大学院を目指す留学生の受験指導を出発点に日本語学校の運営、教材出版、美術や音楽などの専門分野への進学支援、就職支援へと事業を広げてきました。

楊氏の説明によると18年間の累計卒業生は6万人を超えます。
卒業生が日本の大学で学び、企業に就職し、日中をつなぐ仕事に携わるようになるなかで、行知学園インターナショナルスクールが向き合う課題も広がってきました。

その一つが、学齢期に日本へ移り住む子どもたちの教育です。

大学への進学を支えてきた経験を、より早い段階の学びへとつなぐ。
今回のインターナショナルスクール開校には、そうした事業の積み重ねがあります。

日本語の壁を越え、子どもの可能性を進路につなぐ

学校設立の背景には、楊氏自身の経験もあります。

幼少期から日本と中国を行き来した楊氏は、異なる言語や文化の中で生活する難しさを経験してきました。

言葉を覚えることに加えて、学校や地域の習慣を理解し、人間関係を築いていくための支えが必要だったと振り返ります。

開校記念式典でテープカットをする楊氏と行知学園 インターナショナルスクールの教職員

式典で楊氏が課題として挙げたのは、日本語の習得途上にある子どもたちの進路です。

授業を理解するための日本語を学びながら、教科学習や受験準備も進めなければならない。保護者も日本の教育制度に十分な知識がなく、必要な情報を得にくい。

さらに、学校側も、一人ひとり異なる国籍や学習歴を踏まえた進路指導に難しさを抱えることがあります。

楊氏は、こうした子どもたちが持つ複数言語の力や国際的な背景に可能性を見いだします。その力を大学進学や将来の仕事へつなげるために、言語教育と進路支援を一体で届けようとしています。

日・中・英の学びを、家庭への支援とともに

同校が目指すのは、日本語、中国語、英語を使い、異なる文化の間で活躍できる人材の育成です。

日本と中国への進学コースがあり、インターナショナルスクールとして米国の認定団体Cogniaの認定を計画している

楊氏は、学校に日本語と中国語で対応できる教員を配置し、生徒の学習と生活を支える方針を説明しました。

日本語に十分慣れていない段階でも、理解できる言語で相談しながら、日本での学校生活に適応していくことを重視します。

支援の対象には、保護者も含まれます。

子どもの学校での様子を理解し、困りごとがあれば教員と話し合えること。学校からの連絡や進路情報を受け取り、家庭として判断できること。

保護者と学校の間の意思疎通を支えることも、子どもが安心して学ぶための土台になります。

複数の国に生活の基盤や家族のつながりを持つ家庭にとって、学校選びは、将来どの社会で生きていくかという問いにもつながっています。

同校は、その選択を家庭とともに考えていく方針です。

日本、中国、欧米へ。進学先を選べる準備を

式典では、日本と中国の双方への大学進学が、学校の大きな特徴として紹介されました。

楊氏は、日本留学試験(EJU)や、中国の華僑学生などを対象とした入試、外国人留学生向けの試験であるCSCAに言及。

生徒の背景に応じて利用できる進学制度を理解し、早い段階から準備を進める重要性を語りました。

多様な進学先に対応する仕組み

学校の公式カリキュラムでも、日本、中国、欧米の三つの進学ルートを示しています。

語学の強化、受験科目の学習、出願書類や面接の準備などを、生徒の希望に合わせて支援するとしています。

日本で学び続けたい生徒もいれば、中国への進学を考える生徒、欧米の大学に関心を持つ生徒が予想されます。

楊氏は、進学先の国がまだ決まっていない生徒についても、学習を続けながら、希望が定まったときに必要な準備へ進める教育環境を提供すると説明しました。

利用できる入試や出願資格は、国籍、在籍歴、居住歴、志望大学などによって異なります。同校は、こうした条件を家庭ごとに整理し、将来の選択肢を準備することを重視しています。

「18歳で大学へ」を見据えた教育

楊氏が、学校設立の理由として強調したのが、大学進学までの時間です。

海外の高校を卒業してから日本語学校で学び、日本の大学を目指す場合、語学習得と受験準備のために追加の期間は最大で2年間も要することがあります。

楊氏は、留学先を選ぶ家庭にとって、学費とともに、この時間も大きな判断材料になると指摘しました。

そこで同校が目指すのが、高校段階の学びの中に言語教育と大学進学準備を組み込み、18歳での大学進学につなげることです。

教科を学びながら日本語を身につけ、志望する大学や学部に必要な準備も進める。

そのための教育課程を設けることが、インターナショナルスクールという形にたどり着いた理由だと説明しました。

大学に入るまでの道筋を高校段階から設計する。長年、留学生の受験指導に携わってきた行知学園の経験が表れる構想です。

大阪、そしてアジアへの展開を構想

楊氏は今後の展開について、東京に続き、2027年4月に大阪校を開設する計画を説明しました。

東京に続き、2027年4月に大阪校を開設へ

さらに、ベトナムやインドネシアなどで、日本の大学進学につながるインターナショナルスクールを展開する構想も示しました。

海外で学ぶ段階から、日本語と大学進学に必要な力を育てる。

日本を留学先として選ぶ若者にとって、進学までの道筋をより明確にする取り組みでもあります。

今回の開校から見えてくるのは、日本で暮らす子どもの国際的な背景を、学びと進路に生かそうとする学校づくりです。

言語、文化、教育制度をまたいで育つ子どもたちに、どのような選択肢を用意できるのか。

行知学園インターナショナルスクールは、その問いに日・中・英の教育と進学支援を組み合わせて向き合おうとしています。

村田 学

International Education Lab 所長 兼 上席研究員
国際教育評論家

インターナショナルスクールタイムズ株式会社を創立し、インターナショナルスクール専門メディアの運営とプリスクールを経営する。
株式会社Global Step Academy へ転身、インターナショナルスクールタイムズ編集長及び取締役学校事業統括責任者を歴任。

コロナ禍を経て、株式会社セブンシーズキャピタルホールディングスを創立し代表取締役に就任。政府・都道府県自治体向けのインターナショナルスクール誘致のコンサルティング業務及び国際教育評論家として各メディアに執筆をしている。

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