2025年タイのインターナショナルスクールカオスマップ
なぜ今、タイの「インター」が熱いのか?
アジアでインターナショナルスクールが急増しています。
タイは、英国王室とタイ王室の結びつきから、英国のラグビー校が初めて海外に分校を開校した歴史があります。その後、アジアは、香港とシンガポールの貿易・金融都市を中心とした経済発展とともに駐在員ニーズが増え、インターナショナルスクールが増えていきました。
タイは、多くの日本メーカーがアジアのサプライチェーンの拠点とし、駐在員が急増しました。
バンコク日本人学校は、2014年には3,000人の生徒を抱える世界で最大のマンモス日本人学校にもなりました。
駐在員が多いタイでは、現地のインターナショナルスクールに進学したい駐在員も増えています。
そこでIELでは、駐在員が増え、教育移住でも人気のタイの特派員として竹川 千晶さんにお願いしました。
竹川さんは、「School Guide Bangkok」の代表であり、タイ在住しながらインターナショナルスクールの進路相談を受けています。
駐在員、教育移住が増えるタイの2025年最新版インターナショナルスクールのカオスマップを竹川タイ特派員が解説します。
タイのインターナショナルスクールと聞いて、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか? 教育移住先としてマレーシアが注目されがちですが、実はここタイも教育大国として非常に熱い市場です。
驚くことに、タイ国内にはインターナショナルスクールが260校ほどあると言われており、首都バンコクだけでも160校を数えます。さらに、2026年8月までにはすでに3校の開校が決定するなど、その需要は年々高まる一方です。
タイでも日本と同様に少子化が進んでいますが、インターナショナルスクールの人気は衰えるどころか、高まるばかりです。この現象には、いくつかの明確な理由があります。
タイのインターナショナルスクール市場の現状と高まる需要の背景
タイのインターが人気を集める7つの理由
- タイ人の富裕層による教育熱の高まり: タイ国内の富裕層のご家庭において、「我が子をインターナショナルスクールに入れたい」という希望が非常に多く、国内の需要を押し上げています。
- 東南アジアの「教育ハブ」としての地位確立: タイは東南アジアの教育の中心地の一つとして広く認知されています。特にバンコク、チェンマイ、プーケット、パタヤといった都市は、教育拠点として国際的な魅力を放っています。
- 世界的な名門校の積極的な進出: イギリスの名門であるハロー校、ブライトンカレッジ、ラグビー校、キングスカレッジなどが、東南アジアのキャンパスとして次々とタイに進出しており、教育の質に対する信頼度を高めています。
- 教育に適した環境とインフラ: タイのインフラ整備、治安の良さ(安全性)、そして比較的コスト面で優位性があることから、教育事業を拡大するのに最適な環境であると国際的に評価されています。
- 多様な国籍の駐在員家庭の存在: タイには日本人だけでも8万人ほどが住んでいると言われていますが、それ以外にも欧米人、中国人、韓国人、インド人など、様々な国籍の駐在員ご家庭が暮らしています。インターナショナルスクールは、こうした駐在員のお子様方の受け皿として大きな役割を果たしています。
- 国際教育への強い要望: 国際結婚のご家庭や海外から帰国したタイ人のご家庭などから、「子どもにバイリンガル教育や国際教育を受けさせたい」という強い要望があり、インターナショナルスクールがそのニーズに応えています。
- タイ教育省による積極的な支援: タイ教育省がインターナショナルスクールの設立を積極的に支援していることも大きな要因です。これにより、外国資本の参入や海外ブランドのフランチャイズ展開が活発化しています。
カオスマップ徹底解説:教育システム別の特徴と注目校
タイのインターには様々な教育システムがありますが、中でも多くを占めているのがイギリス式の学校です。
アジアにおけるエリート教育の代名詞であり、その強いブランド力と国際的な評価の高さから、タイの富裕層に絶大な人気を誇っています。
イギリス式インターナショナルスクール(IGCSE, Aレベルなど)
- ブライトンカレッジ: バンコクに2つのキャンパスを持つ名門校です。最近、既存校がライセンス化してリニューアルされたキャンパスもオープンしました。
アブダビやシンガポールにもキャンパスがあり、多国籍な交流が活発です。
東京・パリオリンピックのテコンドーコーチが放課後クラスで指導するなど、知名度も高いです。
アカデミックな評価も高く、卒業生にはケンブリッジ大学へ進学した日本人学生もいるなど、高い教育水準を誇っています。 - シュルーズベリー・インターナショナル・スクール: 450年の歴史を持つイギリスの老舗名門校「ザ・ナイン」の一つです。
バンコクには、幼稚園から高校まで一貫教育を行うリバーサイドキャンパスと、市内に位置するシティキャンパス(2歳~Year 6)の2つがあります。合わせて3,000人以上が在籍するマンモス校です。
チャオプラヤ川沿いにあり、ボートで通学できるというユニークな特徴もあります。 - アスター・インターナショナル・スクール: 比較的新しい学校ながら、校長先生の指導力が高く、生徒数が毎年増加しています。
プロジェクト型やテーマ型の学習を取り入れているのが特徴です。
ユニークな点として、学校がマンションの下にあるため、そこに住むご家族は渋滞を避けて、階下に降りるだけで送迎が完了するという、バンコクの交通事情を考慮した利便性の高さが魅力です。 - セント・アンドリューズ・インターナショナル・スクール・バンコク校: 世界的なノードアングリア校グループに属する学校で、2,500人以上の生徒が在籍するマンモス校です。プライマリーとセカンダリーの2キャンパスに分かれており、特筆すべきは日本語クラスの存在です。
日本人の生徒は週に2回ほど日本語の授業を受けられるなど、母国語教育にも配慮されています。MITやジュリアード音楽院と提携した革新的なプログラムも提供しており、高学年ではIBDPやBTECHなども選択できる柔軟なカリキュラムが魅力です。 - クレセント・インターナショナル・スクール: IGCSEを実施する学校ですが、特にESL(第二言語としての英語)に特化しているのが大きな特徴です。
通常の授業の枠内で、ESLが必要な生徒に合わせたカリキュラムが組まれているため、英語サポートクラスで授業が中断されることなく、スムーズに学習を進めることができます。 - トレイル・インターナショナル・スクール: 1966年開校という長い歴史を持ち、タイで最初に中等教育にイギリス式教育を導入した学校として知られています。
学校名は、開校に尽力したイギリス人コーチの名前に由来します。現理事長もイギリスでの教員経験を持つなど、実績のある方です。
家庭的で手厚い教育が魅力で、英語サポートが必要な子どものために、集中的に英語を学べるイマージョンカリキュラムを設けている点も安心です。
カナダ式インターナショナルスクール
- ELC(アーリー・ラーニング・センター): 「小人数体制で手厚い教育」に定評がある学校です。近年は、発達障害を持つお子様を受け入れる特別学級(ドブセンター)を別のキャンパスに設けるなど、多様な教育ニーズに対応しています。
ドブセンターは、子どもたちが社会生活に馴染めるよう、施設や体制すべてが特別に整えられています。
シティキャンパスでは、イタリアのレッジョ・エミリア教育を本格的に導入しており、アート、実験、Steam教育など、専門教師が指導する多様なアトリエ(工房)があることが大きな特色です。
アメリカ式インターナショナルスクール
- ISB(インターナショナル・スクール・バンコク): タイで最も古いインターナショナルスクールの一つであり、「五大インターナショナルスクール」にも数えられます。
創立75年を迎え、元々はアメリカ大使館内で開校されたという歴史があります。IBDP、APコースに加え、APキャップストーン、ハイブリッド、ディプロマコースなど、生徒の進学希望に合わせた多様な進学準備コースを提供しています。
国際バカロレア(IB)インターナショナルスクール
- KISレイクウッドパークとKISバンコク: タイではフルIB(PYP、MYP、DPのすべて)を提供する学校は稀ですが、この姉妹校はその一つです。
KISレイクウッドパークは2024年に開校したばかりで、バンコク唯一のフルIBボーディングスクールとして注目されています。
さらに、タイガー・ウッズの指導者家族が設立したゴルフアカデミーが学校内にあることも特徴的です。
その他の教育システム
- アングロ・シンガポール・インターナショナル・スクール: シンガポールの教育システムを取り入れた学校で、特にSteam教育に力を入れています。
高学年ではイギリス式も取り入れますが、何より、日本語教育を実施している数少ない学校として、日本人家庭から高い人気を得ています。
今回は、タイのインターナショナルスクールの最新カオスマップを、教育システムや各校の特徴を交えて解説いたしました。
タイのインター市場は、その多様性と質の高さで、世界でもインターナショナルスクールが集まる地域になっています。
今後もタイのインターナショナルスクール事情について特派員としてレポートをしていきます。お楽しみに。

竹川 千晶 Chiaki Takegawa
タイ特派員 Correspondent in Thailand
タイ教育移住専門会社 SGB International Co., Ltd代表