ローラス、関西国際学園、CTIS人気に見るインター市場の大変化
インターナショナルスクールは、「外国人向け」から「日本人向け」への構造転換
2026年度以降、日本のインターナショナルスクール市場で興味深い変化が起きている。
ローラス・インターナショナルスクール・オブ・サイエンス、関西国際学園(さくらインターナショナルスクール)、キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)などで、小学校1年生を中心に入学希望者が増加している。
画像:ローラスインターナショナルスクール公式サイトより
学校によっては定員を増やして受け入れを行うケースも見られる。
一見すると個別校の人気上昇に見えるかもしれない。
しかし市場全体を俯瞰すると、そこにはより大きな構造変化が見えてくる。
この現象は、「日本のインターナショナルスクール市場が、外国人向け市場から日本人向け国際教育市場へ移行している」ことを示す象徴的な出来事だと考えている。
最大の変化は「学校」ではなく「家庭の価値観」
インターナショナルスクール市場を語る際、多くの人は学校側の変化に注目する。
しかし本当に重要なのは学校ではない。
家庭の価値観である。
1990年代から2010年代前半まで、日本のインターナショナルスクールを選ぶ家庭の多くは、
- 駐在員家庭
- 外交官家庭
- 外国籍家庭
- 帰国子女家庭
だった。
当時のインターナショナルスクールは、本質的に外国人学校としての役割を担っていた。
学校が重視していたのも、
- 外国人コミュニティからの評価
- 海外校との接続
- 駐在員家庭のニーズ
である。
しかし現在、市場を牽引している家庭は大きく異なる。
- 日本人家庭
- 教育移住を検討する家庭
- 海外大学進学を視野に入れる家庭
- 多様な学び方を求める家庭
- 共働きの高所得層
- 新富裕層
である。
つまり市場の中心が、「外国人のための学校」から、「日本人家庭が選ぶ国際教育」へ移行しているのである
なぜローラス、関西国際学園、CTISが伸びるのか
この変化を象徴しているのが、
- ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス
- 関西国際学園
- キャピタル東京インターナショナルスクール
である。
画像:関西国際学園公式サイトより
3校はそれぞれ異なる特色を持つ。
しかし共通点もある。
それは、日本人家庭向けに最適化されたインターナショナルスクールであることだ。
従来型インターナショナルスクールの多くは、
- 英語100%
- 日本語は家庭任せ
- 海外進学を前提
というモデルだった。
一方で、これらの学校は、
- 英語で学ぶ
- 海外と国内大学も前提
- 国際性を育む
だけではない。
同時に、
- 日本語
- 日本文化
- 日本社会との接続
も重視している。
保護者が求めているのは、「外国人になるための教育」ではない。
「日本人として世界で活躍するための教育」なのである。
「受験回避」では説明できない
かつてインターナショナルスクールを選ぶ理由の一つに「受験を避けたい」という考え方があった。
しかし現在の市場を見ていると、それだけでは説明できない。
画像:キャピタル東京インターナショナルスクール公式サイトより
保護者が求めているのは、
- 英語力
- 探究力
- プレゼンテーション力
- 創造性
- 国際性
である。
しかし同時に、
- 日本語力
- 日本社会への適応
- 国内進学の可能性
も手放したくない。
つまり、「日本か海外か」ではなく、「日本も海外も」なのである。
これは従来の二項対立では説明できない新しい教育ニーズである。
なぜ小学校1年生が伸びるのか
特に注目すべきなのは、小学校1年生の需要である。
これは単なる人気ではない。
保護者が長期的な教育ルートとして学校を選び始めていることを意味する。
プリスクールから小学校へ。小学校から中学校へ。中学校から高校へ。
さらに国内大学や海外大学へ。
家庭は単独の学校ではなく、教育課程全体を見ている。その意味で、小学校1年生の定員拡大は市場の成熟を示す重要なシグナルである。
特にローラス、関西国際学園、CTISはいずれも幼児教育からの接続を持つ学校であり、保護者が長期的な進路を見据えて選択していることがうかがえる。
「ほぼインター」と同じ市場が形成されている
この変化は、近年拡大している「ほぼインター」現象とも重なる。
昭和女子大学附属昭和小学校国際コース、サレジアン国際学園インタークラスをはじめ、一条校の国際コースへの人気が高まっている背景も同じである。
画像:昭和女子大学附属昭和小学校公式サイトより
保護者が求めているのは、
- インターナショナルスクールか
- 一条校か
という制度上の違いではない。
求めているのは、
- 英語で学べる環境
- 探究的な学び
- 多様な仲間との出会い
- 国際的な進路
である。
つまり、インターナショナルスクール市場と「ほぼインター」市場は競争しているようでいて、実は同じ巨大な教育市場の中に存在している。
保護者は学校種別ではなく、教育価値で学校を選び始めているのである。
日本式インターナショナルスクールの時代へ
今後のインターナショナルスクール市場は、
第一世代:外国人学校型
第二世代:国際バカロレアなど国際教育型
第三世代:日本式インターナショナルスクール型
として整理できるのではないかと考えている。
第三世代の特徴は、
- 日本語を維持する
- 英語で学ぶ
- 日本社会との接続を保つ
- 海外大学進学にも対応する
- 国内大学進学にも対応する
というハイブリッド性にある。
これは単なるバイリンガル教育ではない。日本人家庭の価値観に最適化された新しい国際教育モデルである。
市場は「外国人向け」から「日本人向け」へ
ローラス、関西国際学園、CTISの人気上昇は、個別校の成功事例として語られることが多い。
しかし本質はそこではない。
日本のインターナショナルスクール市場で起きている最大の変化は、学校が変わったことではない。家庭の価値観が変わったことである。
保護者たちは、「日本か海外か」ではなく、「日本も海外も」を求め始めている。
英語か日本語か。国内進学か海外進学か。インターか一条校か。
そうした二項対立を超え、両方の可能性を残した教育を求める家庭が増えている。
その結果として支持を集めているのが、ローラス、関西国際学園、CTISのような日本式インターナショナルスクールである。
インターナショナルスクール市場は今、「外国人向け市場」から「日本人向け国際教育市場」へ移行している。
そして、これから成長する学校は、外国人コミュニティに評価される学校だけではない。
日本人家庭の価値観の変化を理解し、「日本人として世界で生きる力」を育てる学校である。
ローラス、関西国際学園、CTISの人気上昇は、その構造変化を象徴する出来事なのである。