大学附属(付属)校の検討について

大学系の附属(付属)校
進路が多様化する時代。大学系を選択する場合はよく考えて。

中学受験や高校受験の志望校選びで、大学付属校は一定の人気を誇ります。そして、大学の付属校は校数自体も多いので選択の幅も豊かです。一つの大学に対して複数の付属校がある場合がほとんどですね。日本大学系などはその好例でしょう。

さて、この大学付属校を志望する大きな動機の一つに、「中学受験をすれば、その後、高校受験、大学受験までなくて伸び伸びできる」というのがあります。中学受験で入学する私立・公立中高一貫校、一部の国立大学附属は確かに高校受験はありません。また高校から入学する場合でも、大学付属校は、確かに一般選抜としての大学受験はありません(付属校からの大学進学は学校推薦型選抜に位置付けられます)。

ただし、各校によって、系列大学への内進率は様々です。

早稲田・慶應義塾、明治・青山学院・立教・中央・法政などの付属校の多くは70~80%以上と内部進学率が高くなります(早稲田中高など例外もあります)。ただ、難関大学の付属校で、なおかつ内進率が高ければ、それで評価するべきかというとそうでもありません。難関大学と言えども、学部は学問領域的には万能ではありません。むしろ、近年評価が高まっている理系学部はかなり偏りがあります。具体例を挙げると、生物系の学びはかなり選択肢が少ないと言えます。

中高時代に徐々に見えてくる自分の進みたい分野が併設大学にない場合は、他大学受験をするか、もしくは併設大学にある学部になんとなく進学することになります。前述したような内部進学率の高い付属校に進学すると、周囲の雰囲気に引きずられて後者となるケースが多々あるのです。

つまり、進路が多様化し、大学評価が変化しつつある現在、そして今後は、「併設大学に進学できる」が却って、デメリットになる可能性すらあります。ゆえに、大学付属校を選択する場合は、受験生が進学したい可能性がある学部・学科を併設しているかどうかを事前に調べておく必要があります。ただ、受験生の将来の志望は常に変化していきがちなので、事前に調べておくのも限界があるのも事実です。

ゆえに、最近はむしろ内進率はそれほど高くはなく、併設大学はリスペクトはするものの、他大学への進学にもしっかり対応できるような「ハイブリッド型私学」が人気となっています。

井上 修

International Education Lab 教育アナリスト/上席研究員
茗溪学園 校長補佐

『進学レーダー』や日能研の媒体を通した発信、週刊東洋経済、サンデー毎日、週刊ダイヤモンド、エコノミストなど各雑誌、アエラウイズキッズなどWEB媒体などでの寄稿、インタビュー記事など多数。各大学や私立中高一貫校、そして公立高校で、保護者、教員対象の教育講演会も多数。

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